(まだ書きかけです)
部分的アプリオリ較正法のリダクション法
(ver. 2006Mar)
山口大学 土居明広
〜 目次 〜
1.
必要な前処理
2.
フリンジフィッティング
3.
セルフキャリブレーション
4.
絶対スケーリング
はじめに
AIPS を使った部分的アプリオリ較正法のデータリダクションをご説明します。 ここでの最終目標は、各局の振幅ゲインが書き込まれたSNテーブルを獲得することです。
アプリオリ較正法は、一般的に VLBI で使われていますが、全局でアプリオリ較正パラメータを用意できる場合です。 JVN では、アプリオリ値を用意できる局だけで絶対フラックススケールを較正します。 その解を他の局に適用するために、ゲインキャリブレータを利用してフラックススケール軸上と時間軸上で接続します。
1. 必要な前処理
通常どおり、 FITLD, MSORT, INDXR, UVFLG, ACCOR までやってください。 ここまでで、SN1 と CL2 ができていると思います。 たぶん、UVFLG
がとっても大変だと思います。 ビジビリティが異常な時間帯の抜き出しは、UVPLT ではストレスが溜まるので、私は difmap に出して VPLOT でやることがあります。 LISTR,
POSSM, PRTAB, PRTAN, SNPLT
などでの基本的なチェックもやっておきましょう。
2. フリンジフィッティング
ここで、解析の流れが一旦 2つに分かれます。
@ 全局で相対ゲインをそろえる
A
アプリオリ較正パラメータがある局だけでアプリオリ較正
まず、@ をやっておきます。 ゲインキャリブレータを全時間帯について、全局で
FRINGします。 位相補償をやっている場合には、ここで位相補償キャリブレータについても一緒にやってしまってください。 明るいターゲットの場合も、一緒にやってしまってください。 SN2 ができます。
これを CL2 に適用し、CL3を作ります。 これでアレイが結合されました。 SNSMOでスムージングした人は、SN3になっているかもしれません。
ところで私は、FRINGの前ですでに、バンドパス較正をしてしまいます。 フリンジフィッティングの感度がほんのちょっと良くなることを期待してですが、キャリブレータが感度ギリギリという状況じゃないと恩恵を感じないですので、あんまり気にしないでください。
3. セルフキャリブレーション
CALIBを使って、ゲインキャリブレータについて、振幅セルフキャリブレーションをします
(位相も同時に解かれますが)。 ここでの目的は、干渉計として焦点が合うよう、各局のゲインをそろえることです。 ゲインキャリブレータはそのためのキャリブレーションシグナルなので、S/N
比が高い点源である必要があります。 ゲインキャリブレータの明るさは分かりませんので、強度不明のキャリブレーションシグナルです。 ですから、このセルフキャルはアレイの焦点を合わせることはできても、振幅の絶対スケールには意味はありません
(各局の相対関係に意味があります)。
CALIBは、smodelを与えなかったときは、その天体が
SUテーブルに書き込まれている明るさであると思ってセルフキャルを解いてくれます。 とりあえず、1 Jy として解くのが後々混乱がなくよいでしょう。
SU テーブルの操作は SETJY でおこなえます (「相対較正法」の方に説明があります)。 代わりに、単に
smodel=1,0 でも良いでしょう。
CALIBは必ず cparm=0, soltype=’L1’ で解いてください。強度不明のキャリブレータに無理やり合わせるためです。 これに気付くまで随分苦労しました。
できあがった SN3 は必ず SNPLT でチェックしてください。 感度が良いアンテナほど小さな値になっているでしょう。
明らかに異常な値があれば、SNEDTしましょう。 SNSMO で全天体の全時間帯に内挿外挿してください。
SN4 ができあがります。
いまは振幅項だけ求めればよかったので、セルフキャルで出てきた位相解は目障りです。 後の混乱を避けるためにも、ここで位相だけリセットしておきましょう。
SNCOR で opcode = ‘ZPHS’ でできます。 すべて位相がゼロになったことを SNPLT で確認してください。
4. 絶対スケーリング
このSN4 で、アレイを全時間帯にわたって接続することができます。 SN4 は、振幅スケーリングに関して、「ACCOR の結果をベースにした場合、点源
1 Jy を再現するにはどうすればいいか」という較正パラメータが入っています。 1 Jy は勝手な仮定だったので、このスケールはウソなわけです。 本当のスケールは、ACCOR の後にアプリオリ較正をしていれば分かっていたはずでした。
ここで一旦 ACCOR の直後へ立ち戻り、解析の流れAへと道をそれます。 アプリオリ値が手に入る局だけでもアプリオリ較正をして、本当のスケールをその局だけでも(Tsys
測定した時刻限定で)求めましょう。
通常の VLBI リダクションと同様に ANTAB で較正パラメータを読み込み、TY テーブルと GC テーブルを作成します。
較正パラメータは、アプリオリ値が用意できる局だけで結構です。 読み込むパラメータは、以下のようなテキストファイルで用意します。
(テキストファイルの例:*************)
(テキストファイルの例:*************)
(テキストファイルの例:*************)
(テキストファイルの例:*************)
(テキストファイルの例:*************)
(テキストファイルの例:*************)
これを APCAL で処理し、SN5 を作ってください。 この SN テーブルは値を見るだけで、以降
CL テーブルのアップデートには利用されません。
欲しかったのは、Tsysを測定した時刻のその局の gain 値です。
この値は SN4 の中の該当する値と比較してどのくらい開きがありますか? その開きを修正すれば、SN4 も本当のスケールを得ることができます。 修正に必要なスケーリングファクターをなんとか求めてください。
Tsys 測定値が複数ある場合にも、それらすべてをうまく満たすような1つのスケーリングファクターを、適宜最小二乗法などで求めて下さい。
SN テーブルの振幅項は、SNCOR でファクター倍することができます。 opcode =’MULA’,
sncorprm = ファクター として実行して SN4 を修正し、SNPLT で確認してください。
こうして出来上がった SN4 が、最終的に欲しかったゲイン較正テーブルです。 ACCOR で出来ていた CL2 に適用し、C4 を作ってください。 この CL4 は、全時間全天体についての振幅項の較正テーブルです。
あとは、ターゲットについての位相・delay/delay-rateを求めてゆく通常の処理へと進んでください。