ミリ波VLBI実験

Mm Interferometer Collaboration Experiment 2015 (MICE2015)
at NAOJ Nobeyama Radio Observatory









©画像:国立天文台 野辺山宇宙電波観測所




ミリ波VLBI実験とは?

理解するための4つのキーワード

ブラックホールの謎

ブラックホールは謎に包まれた天体です。理論で予言されてから約百年経つにもかかわらず現在もその存在が観測で証明されていません。理由はブラックホールが小さ過ぎるからです。そして今、研究者はミリ波VLBIの技術を使いブラックホール周辺の高温ガスを詳細に撮像しその謎に迫ろうとしています。

©国立天文台/AND You Inc.

VLBI

VLBI(超長基線干渉計)とは離れた場所にある電波望遠鏡に届く星からの電波の波を干渉させる技術です。望遠鏡が離れるほど、電波の波長が短いほど解像度が高くなります。もし数千キロメートル離れた電波望遠鏡でミリ波を干渉させることが出来たならブラックホールの詳細な姿が見えると考えられています。

ミリ波VLBIに挑戦

国立天文台野辺山宇宙電波観測所で日本のミリ波電波天文学の技術は大きく発展してきました。それはアルマ望遠鏡へと受け継がれています。一方日本のセンチ波VLBI技術は水沢VLBI観測所や情報通信研究機構、地方大学を中心に発展を続け今回1.3ミリメートルのVLBI実験に初成功しました。

研究者が集合

今回の実験では日本各地の3つの研究機関と4つの地方大学の研究者が長野県の国立天文台野辺山宇宙電波観測所に集まりました。彼らの技術と知恵によってミリ波VLBI実験を成功することができました。今回の経験を活かしブラックホールの謎を解明するためにより難しい実験に挑戦し続けます。

プレスリリース (2015年6月5日)

2015年4月27日、山口大学時間学研究所藤澤健太教授が率いる共同研究チームは、長野県にある野辺山宇宙電波観測所において、日本で初めて230 GHzという極めて高い周波数での電波干渉計(VLBI)実験に成功しました。
この成果は、山口大学、国立天文台、宇宙科学研究所、情報通信研究機構、大阪府立大学、茨城大学、京都大学の共同研究という、いわば全日本のVLBI天文学の力を結集したものです。具体的な研究内容は高度な観測システムの技術実証であり、将来のブラックホールの画像化観測に重要な一歩となることが期待されています。

詳細は以下にある記者発表資料をダウンロードしてご覧になって下さい。

また関係大学・機関もプレスリリースを出しています。
大阪府立大学教育・研究ニュース、  NICT鹿島VLBIニュース第135号、  茨城大学宇宙科学教育研究センター News&Topicsや  国立天文台野辺山宇宙観測所(NRO No.133)  も合わせてご覧下さい。

      
      

記者会見出席者

藤沢 健太(ふじさわ けんた)   山口大学 時間学研究所 教授
嶺重 慎(みねしげ しん)   京都大学 大学院理工学研究科 教授
小川 英夫(おがわ ひでお)   大阪府立大学 宇宙物理学研究室 教授
関戸 衛(せきど まもる)   情報通信研究機構 電磁波計測研究所 時空標準研究室 
次世代時空計測グループ 鹿島宇宙技術センター 副室長
秋山 和徳(あきやま かずのり)   国立天文台 水沢VLBI観測所 研究員

      
©Satomi Nakahara